メンタルアカウンティング

行動経済学

メンタルアカウンティングは、私たちが心の中でお金をどのように扱っているかを説明する考え方です。たとえば、お小遣いやお年玉をもらったとき、そのお金を何に使うか考えますよね。実は、私たちはこのとき、自然とお金を「アカウント」(心の中の財布)に分けて管理しています。

たとえば、毎月のお小遣いは好きなものを買うために使い、特別なお年玉は貯金するか、高価なゲームを買うために取っておくかもしれません。このように、どこから来たお金か、何に使うかによって、使い方を変えているのです。

このメンタルアカウンティングの面白いところは、お金の出どころや使い道を分けて考えることで、全体のお金の使い方が変わることです。たとえば、お小遣いで貯金をするのは難しいけど、お年玉なら「特別なお金」だから貯めておこうと思うかもしれません。

このように、メンタルアカウンティングは、私たちがどのようにお金を使い、管理しているかを説明するための大切な考え方です。この考え方を知ると、自分のお金の使い方をもっと賢くできるかもしれませんね。

メンタルアカウンティング(Mental Accounting)の概念は、行動経済学の分野で著名な経済学者リチャード・セイラー氏によって提唱されました。

概要

メンタルアカウンティングとは、人々が金銭に関する意思決定を行う際に、無意識のうちに心の中でお金を異なるカテゴリーやトピックごとに分類し、それぞれ別々に扱う傾向を指します。この概念は、人間が必ずしも経済的に合理的な判断を下すわけではないことを示しています。

セイラーの実験

リチャード・セイラー氏は、メンタルアカウンティングの存在を明らかにするための実験を行いました。この実験では、以下のような質問が参加者に投げかけられました:

  1. 映画のチケットを10ドルで購入したが、劇場に着いてチケットをなくしたことに気づいた。この場合、新たに10ドルを払って映画を見るか。
  2. 映画を見るために劇場に向かう途中で10ドルの現金をなくした。劇場に着いて、10ドルのチケットを購入するか。

結果として、同じ10ドルの損失であるにもかかわらず、質問1の場合よりも質問2の場合の方が、チケットを購入する傾向が高いことが分かりました。これは、人々が心の中で「娯楽費」と「現金」を別々の勘定科目として扱っているためだと考えられます。

影響と応用

メンタルアカウンティングの概念は、個人の経済行動だけでなく、組織や企業の予算策定にも影響を与えています[1]。また、この心理的バイアスを理解し活用することで、貯蓄行動の改善や効果的な金銭管理につながる可能性があります。

この概念を応用した「Save More Tomorrow」プログラムを開発し、人々の貯蓄率を向上させることに成功しました[2]。このプログラムでは、将来の賃金上昇分を自動的に貯蓄に回すことを事前に約束させることで、現在バイアスを克服し、貯蓄率を3.5%から13.6%まで上昇させることができました。

メンタルアカウンティングの理解は、個人の金銭管理から政策立案まで、幅広い分野で活用されており、行動経済学の重要な概念の一つとなっています。

Citations:
[1] https://sbsmarketing.co.jp/blog/whatis-mental-accounting-2023-10/
[2] https://infolounge.smbcc-businessclub.jp/articles/607

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