参照点依存性

行動経済学

参照点依存性(reference point dependency)は、意思決定や評価がある特定の基準点(参照点)に依存して行われる心理的現象です。人々はこの参照点を基準にして得失を評価し、そこからの増減に敏感になります。

暑いので温度を例にいくつか説明してみます。

季節の変化: 春先に気温が摂氏15度に達すると、多くの人が暖かいと感じ、薄着になります。しかし、夏の終わりに同じ気温になると、同じ摂氏15度であっても、涼しく感じ、上着を着る人が増えることがあります。この場合、参照点は直近の気温であり、それに対する相対的な温度感覚が変化します。

エアコンの設定温度: エアコンを使用する際に、室内の設定温度が参照点になります。例えば、室内が摂氏25度に設定されているときに外から帰ってきた場合、外が摂氏30度であれば室内が快適に感じますが、外が摂氏20度であれば、室内は暖かく感じるかもしれません。ここでは、外の気温が参照点として機能し、室内の温度感覚を左右します。

寒暖の慣れ: 北国に住む人々は、冬の寒さに慣れており、摂氏0度をそれほど寒く感じないかもしれません。一方、暖かい地域に住む人々は、同じ気温を非常に寒く感じることがあります。この場合、住んでいる地域の気候が参照点として働き、その人の温度感覚を決定します。

風呂の温度: 人が入浴する際、お湯の温度を基準にして快適さを評価します。たとえば、摂氏38度のお湯に浸かった後に摂氏36度のお湯に入ると、少し冷たく感じるかもしれませんが、摂氏40度のお湯に入った後に同じ摂氏36度のお湯に入ると、さらに冷たく感じるかもしれません。この場合、直前に触れていたお湯の温度が参照点となっています。

オフィスの空調: 一つのオフィスでの温度設定は、個々の従業員の参照点に基づく意見が異なる場合があります。たとえば、いつも暖かい服装をしている人は室温を低めに設定したいかもしれませんが、薄着の人は暖かく感じる温度を好むかもしれません。この違いは、各自の服装や個人的な温度快適度が参照点として影響していることを示します。

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